老後を快適に、そして安全に過ごすためには、住まいを見直して環境を整えることが大切です。特に、毎日使うキッチンは年齢を重ねるとともに使いづらさや危険を感じる場面が増えることもあります。
「腰が痛くて、もう長時間立っていられない」「足が滑りそうで怖い」このように感じている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、老後の暮らしを快適にするキッチンリフォームのポイントを詳しく解説していきます。
老後のキッチンリフォームで押さえておくべきポイントとは?
老後のキッチンリフォームにおいて、押さえておくべき5つのポイントをご紹介します。このポイントを押さえてリフォームを行うことで、
快適にキッチンを利用することができますよ。
キッチンの高さ
キッチンリフォームで最も重要な要素の一つが、キッチンの高さです。一般的にキッチンの高さは「身長÷2+5cm」を基準に計算します。例えば、身長170cmなら約90cmが理想です。
しかし、これは立った状態で料理することを想定した高さになります。年齢を重ねるにつれて腰や膝への負担が大きくなり、長時間立ち続けての作業が難しくなるため、座ったまま作業ができる「ユニバーサルキッチン」がおすすめです。
ユニバーサルキッチンとは、座ったまま作業ができるキッチンで、75cm~85cmとやや低めの高さになっています。椅子・車椅子に座った状態でも膝が当たらないように、カウンター下が奥まった構造になっています。
お手入れしやすくする
キッチンリフォームの際は、汚れが付きにくく掃除が簡単な素材を選びましょう。
ステンレス製のシンクは熱に強く錆びにくいため、耐久性が高く長期間清潔さを保つことができます。また、キッチンの天板もステンレス製にすることで、水滴や汚れをサッと拭き取るだけでキレイになります。コンロはガスコンロからIHにするだけで凹凸が無くなり、表面を拭くだけでお手入れが完了します。さらに、食器洗い乾燥機を導入することで、大幅に負担を減らすことができるでしょう。
このように汚れにくい素材や新しい機能を取り入れることで、キッチンのお手入れにかかる時間が少なくなります。
収納においての安全性
手が届きにくい高い場所にある収納は、高齢者にとって大きな負担になります。足を伸ばしたり踏み台の上に乗って、高い場所にある物を取ろうとすると、バランスを崩して転倒してしまう可能性があります。ですので、リフォームの際は「自動昇降式の吊り戸棚」を導入することをおすすめします。
自動昇降式の棚はボタンを操作するだけで、棚が手の届きやすい位置まで自動で降りてきてくれます。これにより無理な姿勢を取ったり、踏み台の上に乗る必要なく、物の出し入れが可能になります。
また、キッチンのキャビネット収納を開き戸方から引き出し型にすることで、物の出し入れがさらに楽になります。
照明の明るさ
老後のキッチンリフォームでは「照明の明るさ」も重要なポイントになります。年齢が進むにつれて視力が低下し、薄暗い環境ではレシピや食品の文字が見えにくくなるため、一般的に若い世代の2~3倍の明るさが必要だとされています。
また、60代以降には白内障にかかる人が急増します。白内障は見えづらくなる他に、眩しさを感じやすくなるという特徴があります。
そのため、単に明るい照明を追加するだけではなく、間接照明や光が柔らかく広がるデザインのペンダントライトを取り入れるのがおすすめです。さらに明るさや色を調節できる照明にすることで、自分の最適な明るさにすることが可能です。
滑りにくい床
高齢者が安全にキッチンを利用するためには、床のことも考えましょう。特に、水や油が付着して滑りやすくなる床は、転倒事故が起きやすくなるため対策が必要です。例えば、タイルカーペットを敷くことで、水や油をこぼしてもタイルカーペットが吸収し、転倒の危険性が無くなるでしょう。また、弾力性のあるクッションフロアにすると、足腰の負担が軽減されたり、汚れが拭き取りやすくなる効果があります。
さらに、床暖房を導入することで冬場の足の冷えを防ぎ、長時間キッチンにいても寒さで悩むことが無くなります。
このように、キッチン本体だけではなく、床にもリフォームを加えることで、より快適なキッチンにすることができます。
高齢者向けの使いやすいキッチンとは?
高齢者向けの使いやすいキッチンは、座って作業ができるユニバーサルキッチンです。
高齢になると、腰痛や膝痛など体の不調を抱えている方が多くなります。長時間立ったまま料理や片付けをしていると、負担がかかって疲れてしまいます。椅子や車椅子などに座ったまま作業ができるユニバーサルキッチンであれば、快適にキッチンを利用することができます。
キッチンのシンクや天板には、汚れても掃除がしやすいステンレスの素材などを使用し、お手入れが少なく済むようにすると楽になります。また、IHクッキングヒーターや自動昇降式の棚を取り入れることで、火傷や火災、転倒事故などのリスクを大幅に減らすことも可能です。
古いキッチンでは、お湯と水のハンドルが分かれている混合水栓が採用されています。ハンドルでは開閉の際に力を必要とするため、レバーで温度や水量が調整できる、レバー水栓に変更するのが良いでしょう。
業社を選ぶ際の注意点
リフォームで業者を選ぶ際は、いくつかの注意点があります。
目的と予算を明確にする
リフォームの目的は何なのか明確にしましょう。「使いやすいキッチンにしたい」「収納をもっと増やしたい」など、具体的なリフォームの目的を決めることで、必要になる予算が明確になります。
予算をあらかじめ決めてから業者に相談することで、予算オーバーを防ぐことができるでしょう。さらに、リフォームにおいて妥協できる点と譲れない点も決めておくことで、業者との交渉がスムーズに進みます。
複数の業者から見積もりを取る
リフォームを成功させるためには、複数の業者から見積もりを取ることが大切です。相見積もりを取ることで、業者同士を比較することができ、適正な金額を提示しているかどうか確認することができます。
契約書の内容をしっかり確認して契約する
契約書は、両者がリフォーム内容に合意した証拠です。契約内容をしっかりと確認しておかないと、後にトラブルにつながる可能性があります。工事内容・費用・スケジュール・アフターサービスの有無・解約条件など、しっかりと確認しておきましょう。
まとめ
今回は、老後のキッチンリフォームで押さえておくべきポイントや、高齢者向けのキッチンとは何なのか紹介してきました。
キッチンリフォームをする際に押さえておくべきポイントとしては、「キッチンの高さ」「お手入れのしやすさ」「収納においての安全性」「照明の明るさ」「滑りにくい床にする」の5つになります。これらのポイントを参考にリフォームを行うことで、高齢者にとって安全かつ快適に利用できるキッチンになります。
リフォーム業者を選ぶ際は、「目的と予算を明確にする」「複数の業者から見積もりを取る」「契約書の内容を確認してから契約する」この3つのことに注意して選ぶようにしましょう。