リフォームを含む建設工事では、契約書を作成する義務があると建設業法で定められており、契約書がない状態での工事は違法です。リフォームの規模は大きい小さいに関係なく、契約書が必要になります。
しかし、短期間の簡単なリフォームや小規模のリフォームの場合、契約書を作成しないリフォーム業者がいるようです。
では、契約書が無い場合のキャンセルは可能なのでしょうか?
この記事では、リフォームで契約書が無い場合でのキャンセルできるのか詳しく解説していきます。クーリングオフをどのような手段で取れば良いのか理解するためにも、最後まで読んでみてください。
契約書なしのリフォーム工事はキャンセルできる?
リフォーム工事を依頼する際に契約書が無い場合、キャンセルはできるのでしょうか?
「契約書が無いのは違法だから、契約書が無い契約は成立していないでしょ?」と思う方も多いかもしれません。しかし、契約書がなくても口頭で合意が成立した場合は、法律的には契約したことになります。
ですので、契約書が無いからといって必ずしもキャンセルができるわけではありません。キャンセルを考えている場合は、次のことを慎重に考えてください。
キャンセルを希望する場合は、まず工事の進行状況や準備の段階を確認しましょう。例えば、工事がまだ始まっていない段階であれば、業者との合意次第で契約がキャンセルできるケースもあります。
しかし、業者がすでに材料を手配し、作業の準備に着手している場合は、キャンセルによる損失を補填するための違約金を求められる可能性が高いです。
注意していただきたいのが、キャンセルの申し出が遅くなるほど違約金が高くなる可能性があるということです。リフォーム工事は準備段階から多くの手間やコストが発生します。そのため、キャンセルの意思がある場合は、できるだけ早めに業者と相談することが大切です。
なお、訪問販売や電話勧誘などで契約をした場合など、クーリングオフ制度を利用できることもあります。他にも、利用できる条件がいくつかあるので、次の章で解説します。
クーリングオフと特定商取引法に基づくキャンセル
特定商取引法に基づくクーリングオフの適用範囲
リフォーム工事においてのクーリングオフの適用範囲は以下の通りです。
- 消費者と事業者の関係での契約であること
- 訪問販売や電話勧誘によって契約を締結したこと
- 契約締結をした場所が、業者の営業所等以外の場所であること
- 契約書を受け取ってから8日間以内に、書面でクーリングオフを行うことを記載した通知を契約相手に発送すること
この中でも①と③についてもう少し詳しくみてみましょう。
①消費者と事業者の関係での契約であること
クーリングオフ制度は、消費者を守るための制度なので、事業者が営業目的で契約を結んだ場合はクーリングオフの対象外となります。この事業者は個人事業主も含まれます。例えば、会社ではなく個人でリフォーム業を行っている方との契約であっても、クーリングオフの対象外になることがあります。
③契約締結をした場所が、業者の営業所等以外の場所であること
これには例外があります。例えば、路上や家の前などで勧誘され、営業所等の場所に連れて行かれた場合は、クーリングオフの対象となります。
・クーリングオフを行使する方法
クーリングオフは、契約書を受け取った日から8日(マルチ商法の場合は20日)以内に行う必要があります。クーリングオフをする際はこの期間内に、クーリングオフを行使するという内容を記載した書面(ハガキ・内容証明郵便など)または、電磁的記録(契約会社のメール・WEBサイトのお問い合わせなど)を契約相手に発送し通知することで行えます。なお、契約の支払い方法がクレジットの場合は、クレジット会社にも同様に通知する必要があります。
また、クーリングオフを通知する書面は、証拠として両面のコピーを取ることを忘れないように注意しましょう。電磁的記録で通知する場合は、メールやお問い合わせ内容のスクリーンショットを保存します。
・クーリングオフの有効期間と注意点
クーリングオフを行使する際は、契約書を受け取ってから8日(マルチ商法の場合は20日)以内に、契約相手に通知する必要があります。しかし、契約書が無い場合はどうなるのでしょうか?
結論としては、契約書がなくてもクーリングオフが適用できる可能性があります。
クーリングオフの有効期間は前述の通りですが、この有効期間のカウントは、「適切な契約書」を受け取った日から始まります。
契約内容が曖昧だったり、重要な事項が記載されていない場合は、「不適切な契約書」としてみなされます。そもそも今回のように契約書が無い場合は、有効期間のカウントが始まっていないため、クーリングオフが適用できる可能性があります。
契約書作成の重要性とメリット
リフォーム工事などの大金を要する契約において、契約書を作成することは非常に重要です。契約書は、あなたと相手の合意内容を書面化したものであり、トラブルを未然に防ぐための基本的な手段となります。
契約書を作成することで、工事の基本的な内容や費用・納期・追加工事の可能性などを明確に知ることができるので、後から「聞いていた話と違う」という問題が発生した場合や、工事に不備があった場合などは、契約書が証拠として有効に機能するため、迅速に問題を解決することが期待できます。
さらに、契約書はお互いの責任や義務を明確にしているため、双方が安心して取引に臨むことができる点も大きなメリットです。
契約書なしの口頭契約のリスクと対応
契約書を作成せず、口頭での契約だけでリフォーム工事を進めてしまうと、いくつかのリスクが発生します。
まず、口頭契約では双方の合意内容を明確に記録した書面がありません。そのため、後から双方の認識がずれていることに気づくケースが多々あります。工事の費用や納期・追加工事の有無など、とても大事な部分が曖昧なまま工事が進行すると「言った言わない」の水掛け論になってしまう可能性が高いです。
特に問題が起きやすいのが、工事の内容や費用に関する認識の違いです。例えば、工事完了後に追加作業分の料金を請求されるなどです。しかし、口頭契約の場合は証拠として残るものが少ないため、後に裁判が発生した際に自分の主張を立証することが難しくなることもリスクの一つです。
こうしたリスクを減らすために、口頭契約ではなく契約書の作成を求めるようにしましょう。
まとめ
今回は、リフォームで契約書が無い場合にキャンセルできるのか解説しました。
結論としては、キャンセルできる可能性はあります。しかし、作業の段階によっては違約金を求められる可能性もあります。
契約書の無い口頭契約は、後から問題が発生しても「言った言わない」の水掛け論になってしまうので、必ず契約書の作成を求めてください。
また、クーリングオフをしようと考えている場合は、クーリングオフの適用範囲内であるかを確認しておきましょう。自分のケースが適応されるのかよく分からない方は、消費者センターや弁護士に相談することをおすすめします。